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- かゆみ(痒み)に対する検査法や治療法
かゆみの検査方法
はしもと吹田アニマルクリニックでは、ペットのかゆみの原因を特定するために、まず皮膚の状況をくわしく観察し、症状や経過からある程度の見当をつけていきます。その上で、以下のような具体的な検査をおこないます。
基本的な検査
テープテスト
透明なテープで皮膚表面の物質を採取し、顕微鏡で観察します。このテストにより、皮膚表面の細菌や真菌(カビ)、炎症細胞の有無を確認できます。痛みを伴わない簡単な検査です。
抜毛検査
毛を数本抜き、その状態や構造を顕微鏡で確認します。この検査により、毛の異常や真菌感染の有無、ペットが隠れて毛を引きちぎっている可能性などが分かることもあります。
スクレーピング検査
皮膚の表面を軽く削り取り、毛穴に潜むニキビダニなどの寄生虫の有無を確認します。特に脱毛や皮膚炎が見られる部位で実施します。
追加検査
真菌培養検査
皮膚や毛から採取したサンプルを特殊な培地で培養し、皮膚糸状菌(カビ)の有無を調べます。結果が出るまでに1〜2週間かかることがあります。
血液検査
アレルギーの可能性がある場合、血液検査をおこない、特定のアレルゲンに対する抗体レベルを測定することがあります。ただし、血液検査の結果だけでなく、症状や犬種、年齢、生活環境などを総合的に判断することが重要です。
かゆみの実態
実は、かゆみの原因の約7割は感染症によるものです。具体的には、ブドウ球菌による「膿皮症」や酵母菌(カビの一種)による「マラセチア皮膚炎」が代表的です。残りの約3割が食物アレルギーやアトピーなどのアレルギー性疾患によるものとされています。
治療方法
かゆみの原因が特定できたら、適切な治療を開始します。治療法は大きく分けて以下の3つのアプローチがあります。
薬物療法
抗生物質
細菌感染が原因の場合、抗生物質を処方します。皮膚の感染症が完全に治るまでには、通常21〜30日程度の治療期間が必要です。
駆虫薬
ノミやダニなどの外部寄生虫が原因の場合、適切な駆虫薬を使用します。治療と同時に予防もおこなうことで再発を防ぎます。
ステロイド薬
かゆみのコントロールに非常に効果的ですが、副作用として食欲増加、飲水量・尿量の増加などが見られることがあります。高用量や長期使用は避け、適切な管理のもとで使用します。
分子標的薬(かゆみ止め薬)
オクラシチニブなどの薬剤は、かゆみを引き起こす物質に直接作用し、かゆみの発生を抑えます。
抗体薬
ロキベトマブなどの抗体製剤は、炎症を引き起こすサイトカインに作用し、かゆみを断ち切ります。通常、1ヶ月に1回の注射投与が必要です。
免疫抑制剤
シクロスポリンなどの免疫抑制剤は、免疫反応を抑えることでかゆみを鎮めます。特に免疫異常による特殊な皮膚炎に効果を発揮します。
サプリメント
必須脂肪酸などのサプリメントを長期的に使用することで、皮膚の健康を改善し、かゆみを軽減する効果が期待できます。
シャンプー療法
適切な方法と頻度でのシャンプー、また症状に合わせた薬用シャンプーの使用により、かゆみを軽減できることがあります。ただし、過度なシャンプーや不適切な使用方法は症状を悪化させる可能性もあるため、獣医師の指導のもとでおこなうことが重要です。
食事療法
食物アレルギーが原因と診断された場合、「除去食療法」をおこないます。これは、ペットが今まで食べていた食材を避け、新しい単一タンパク源の食事や特別な療法食に切り替えることで、アレルギーの原因となる食材を特定し、症状の改善を目指す方法です。
家庭でできるケア
皮膚の乾燥防止
ペットの皮膚のかゆみは、乾燥が原因となることも少なくありません。次のような対策で皮膚の乾燥を防ぎましょう。
適切な保湿
シャンプー後には、獣医師に相談して選んだ保湿剤を使用しましょう。
穏やかなドライヤー使用
熱風の長時間使用を避け、タオルでしっかり水分を拭き取った後、低温設定で短時間乾かします。
バランスの良い食事
適切な水分摂取と、良質な脂肪酸(オメガ3脂肪酸など)を含む食事を与えましょう。
治療にかかる費用と期間
かゆみの原因や症状の程度によって、検査内容、治療方法、期間が異なるため、費用も一概には言えません。比較的軽度の症状で早期に改善する場合は、1万円程度で治療が完了することもあります。
一方、アレルギーが原因の場合は完全な治癒が難しく、症状のコントロールを目的とした定期的な通院と継続的な治療が必要となります。
かゆみは放置すると症状が悪化し、二次感染を引き起こすこともあります
はしもと吹田アニマルクリニックでは、ペットのかゆみに対して、まずくわしい検査で原因を特定し、その原因に応じた最適な治療法を提案いたします。また、家庭でのケア方法についてもアドバイスし、ペットの苦痛を早期に取り除くとともに、再発予防や長期的な健康管理をサポートします。「もう少し様子を見よう」と思われがちですが、早期発見・早期治療が大切です。ペットのかゆみでお悩みの際は、お早めに当院にご相談ください。
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