
猫の尿管結石は、腎臓で作られた尿を膀胱へ運ぶ「尿管」に結石が詰まることで起こる病気です。
尿管が閉塞すると、尿が正常に流れなくなり、腎臓に負担がかかります。進行すると水腎症や急激な腎機能の低下を引き起こし、重症化すると命に関わるケースもあります。
猫は不調を隠す傾向があるため、症状に気づいた時には病気が進行していることも少なくありません。そのため、早期発見と適切な治療が重要です。
この記事では、猫の尿管結石について、
- 尿管結石とはどのような病気なのか
- 発症する原因
- 注意したい症状
- 尿管閉塞と水腎症の関係
- 動物病院で行う検査方法
について、獣医師が詳しく解説します。
猫の尿管について
猫の尿管は非常に細く、結石が詰まりやすい構造です
尿管とは、腎臓で作られた尿を膀胱まで運ぶための細い管です。
猫の尿管は非常に細く、直径は約0.4mm程度しかありません。これは、一般的なシャープペンシルの芯(0.5mm)よりも細い太さです。
そのため、猫ではわずか1mm程度の小さな結石でも尿管に詰まり、尿の流れを妨げることがあります。
尿管が閉塞すると、腎臓で作られた尿が膀胱へ流れにくくなり、腎臓内に尿がたまって腎臓が拡張する水腎症を引き起こします。状態が続くと腎臓への負担が大きくなり、腎機能の低下につながる可能性があります。
尿管閉塞によって起こる水腎症とは
尿管が結石などによって詰まると、腎臓で作られた尿が膀胱へ正常に流れなくなります。
その結果、尿が腎臓の中にたまり、腎臓が拡張して腫れた状態になります。この状態を水腎症(すいじんしょう)と呼びます。
水腎症が長く続くと、腎臓に大きな負担がかかり、腎機能の低下につながる可能性があります。特に猫の尿管閉塞では、症状が目立たないまま進行することもあるため、早期発見が重要です。
動物病院では、超音波検査によって腎臓の腫れ(水腎症)を確認することで、尿管閉塞や尿管結石の可能性を判断することがあります。
正常な猫ちゃんの腎臓

水腎症の猫ちゃんの腎臓

尿管結石の原因
猫の尿管閉塞の原因として、最も多いのがシュウ酸カルシウム結石です。報告では、猫の尿管閉塞の多くが結石によるものとされており、その割合は約70〜85%程度とされています。
一方で、尿管閉塞は結石だけが原因ではありません。猫では尿管が非常に細いため、以下のような状態でも尿の流れが妨げられることがあります。
- 尿管炎による腫れ(浮腫)
- 炎症によって生じる組織片や粘液などの詰まり
- 炎症後の線維化による尿管の狭窄
- 血栓や凝血による閉塞
- 結石が通過した後に起こる炎症性の狭窄
これらの結石以外による尿管閉塞は、全体の約15〜20%程度を占めると報告されています。
また、猫の尿管は非常に細いため、画像検査で明らかな結石が確認できない場合でも、尿管が狭くなったり閉塞したりしているケースがあります。そのため、腎臓の状態や尿の流れなどを総合的に確認しながら診断することが大切です。
猫の尿管結石は増加しています
近年、猫の尿管結石による尿管閉塞は増加傾向にあると報告されています。
その理由については、まだ完全には解明されていませんが、以下のような要因が関係していると考えられています。
- 食生活やフード内容の変化
- 室内飼育の増加による生活環境の変化
- 猫の平均寿命の延長
- シュウ酸カルシウム結石の増加
- 超音波検査やCTなど画像診断技術の進歩
特に、猫の尿管結石で多くみられるシュウ酸カルシウム結石は、一般的な薬や食事療法で溶かすことができない結石です。
そのため、尿管の閉塞によって腎臓への負担が大きくなっている場合には、結石の摘出や尿の流れを改善するための外科的な治療が必要になることもあります。
早期に発見し、腎機能への影響が大きくなる前に適切な対応を行うことが大切です。
尿管結石の症状
猫の尿管結石では、以下のような症状が見られることがあります。
- 食欲が落ちる
- 元気がなくなる
- ジャンプや高い場所への移動を嫌がる
- 嘔吐する
- 体重が減少する
- 血液検査で腎臓の数値が上昇する
しかし、猫の尿管結石は症状が分かりにくいまま進行することも少なくありません。
特に、片側の尿管だけが閉塞している場合、もう一方の腎臓が尿を作り続けるため、血液検査で腎機能の異常が見られないことがあります。
そのため、「食欲や元気に大きな変化がない」「血液検査では問題がない」という場合でも、超音波検査やレントゲンなどの画像検査によって尿管結石が見つかるケースがあります。
尿管結石は早期発見が腎臓を守ることにつながるため、少しでも気になる変化がある場合は早めの受診が大切です。
尿管結石の検査
猫の尿管結石を診断するためには、血液検査や画像検査などを組み合わせて、腎臓の状態や尿管の閉塞の有無を確認します。
尿管結石は、血液検査だけでは発見が難しい場合もあるため、腎臓や尿管の状態を直接確認できる画像検査が重要になります。
血液検査
血液検査では、腎臓の機能を確認するために、クレアチニン(Cre)やBUN(尿素窒素)などの数値を測定します。
尿管が完全に閉塞すると、尿が正常に排出されなくなり、腎臓への負担が大きくなることで、これらの数値が上昇することがあります。
ただし、片側の尿管だけが閉塞している場合は、反対側の腎臓が機能を補うため、血液検査で異常が見られないこともあります。
そのため、血液検査の結果だけで判断せず、超音波検査などの画像検査と合わせて総合的に診断します。
超音波検査(エコー検査)
超音波検査では、腎臓や尿管の状態を確認します。
主に以下のような変化を確認することができます。
- 腎臓に尿がたまって腫れている状態(水腎症)
- 腎盂(じんう)の拡張
- 尿管の拡張
- 腎臓や尿管周囲の異常
猫の尿管閉塞では、水腎症の有無を確認することが診断の大きな手がかりになります。
尿管は非常に細いため、結石そのものが確認できない場合でも、腎臓や尿管の変化から閉塞の可能性を判断できることがあります。
レントゲン検査
レントゲン検査では、尿管内にある結石の確認を行います。
猫の尿管結石で多いシュウ酸カルシウム結石は、レントゲンに写ることがあるため、結石の位置や大きさを確認する手がかりになります。
ただし、すべての結石がレントゲンで確認できるわけではないため、超音波検査などと組み合わせて判断します。
CT検査
CT検査では、腎臓や尿管の状態をより詳しく確認できます。
主に以下のような項目を評価します。
- 結石の位置や大きさ
- 尿管の状態
- 尿管が閉塞している場所
- 周囲組織の状態
手術やSUBシステム、尿管ステントなどの治療を検討する際には、より詳細な情報を得るためにCT検査を行うことがあります。
クリニック情報
はしもと吹田アニマルクリニック
院長 橋本雄大
大阪府吹田市山田東2-10-3
駐車場有り(10台分)
吹田市・豊中市・摂津市・守口市・茨木市、
大阪市内からも車でのアクセス良好です!
- 関西発の症状別外来(かゆみ外来、せき外来、げり外来)設置
- 得意分野: 皮膚科、呼吸器科、麻酔科、腫瘍科、外科
- 吹田市で最も愛される病院を目指すべく、日々研鑽に努めてます
